亀甲縛り

バングラデシュ マイメイシン
これまで沢山の旅人と会ってきた。
22歳で結婚してから35年以上新婚旅行を続けているドイツ人夫婦(何なんだ、あんたたちは…笑)、レオナルドディカプリオそっくりのアメリカ人旅行者(Tシャツと靴下とパンツ以外の全てを強盗に持っていかれ、シクシク泣いていた)…。話し出せばきりがない。
ラオスで会ったドイツ人青年ミハエルも印象に残った一人だ。
彼とはネット屋(日本で言うネットカフェみたいなものだけど、お茶なんてなく、単にネットをするだけの場所)で会った。初めて会った時、画面に顔を近づけてジッとしていたので「こいつ、なにやってんだ?」と思って画面を覗き込んだら、それはSMをテーマにした日本のエロサイトだった。
「完全に危ないな…」と思った私は無視して友人にメールを送ったりしていたのだが、隣に座っていた彼が話しかけてきた。
ミハエル「に、に、日本には、こ、こんな場所があるのか?」
私「……」
ミハエル「日本ではこういう、ス、スタイルはメジャーなのか?」
私「………」
ミハエル「カモン、メーン!何とか言えよ」
私「……(うるせぇな)」
めんどくさくなった私は考えた挙句、次のように答えた。
「これはKIKKOU SHIBARI(亀甲縛り)と言って、日本人は皆それが好きなのだ。更に言えば、日本の伝統でもある。だからナイトスポットに行けば、お前も体験することができる。自分が相手にやっても良し。自分がやられても良い。場所が分からなければポリスに訊けば教えてもらえると思う。日本のポリスは非常に親切だ。でも、教えてもらうにしても発音やアクセントで分からないだろうから写真をプリントアウトして見せるのがベターだ。そしてこう言うんだ」
「ANATA、KIKKOU SHIBARI SUKIDESUKA?」
「これさえ言えば、お前を適切な場所(留置所かもな…)に案内してくれる。これで完璧だ」
ミハエルは目を輝かして「これからメシでも食おう、いろいろと聞かせてくれ」と言った。
メシを奢ってもらい、超てきとうなことを彼に吹き込みまくった。
別れる際に彼が言った。
「俺は日本に行く…」
……(おいおい、マジかよ)。。。
彼は軽い足取りで「KIKKO SHIBARI!KIKKO SHIBARI!」と変なアクセントで歌うように亀甲縛りという言葉を連発しながらゲストハウスに帰っていった。
彼とはバンコクで再会したが、本当に日本行きのチケットを誇らしげに見せてくれた。。。
行き先は大阪だった。
………。。。。。
その後、彼がどうなったかは知らないけど、再会すると殴られそうな気がしないでもないのでインドに逃亡した。
彼の変なアクセントが数年経った今も耳に残っている。。。
ごめんよ。ミハエル…。。。



